手筒花火について

 近頃、手筒花火がテレビで放送されることが多くなった影響から、当社にも問い合わせが多々あります。手筒花火とは火薬を詰めた竹筒を人が抱え、筒の噴出口から火の粉を吹き上げ消費する噴出煙火です。江戸時代にはじまり、現在でも祭事に愛知県の三河地方や静岡県の遠州地方で盛んに行われています。問い合わせの内容は主に2つですが、その返答の前に、まず、あまり知られてませんが、とても重要な事柄について説明させて頂きます。

 手筒花火を上げている人は花火屋ではありません。資格を取った一般の方々です。また、制作もこの方達が各々に行っています。神社の祭に地元の男衆が自分たちで作った手筒花火を打ち上げ奉納するのが一般的です。花火屋は手筒花火の火薬の販売と作業場の提供のみを行います。当社では40以上の手筒団体が地元のお祭りや他県でのイベントで、打ち上げを行っています。

 1つ目の問い合わせはここ静岡県の方々からです。この地域は、花火打上げの件数が日本一を誇り、特に遠州地方は夏祭りや秋祭りに打上花火を上げている所が多く、近隣の町が手筒花火をやっているのを見て、うちの町の若い衆がやってみたい、と話があります。ですが、手筒花火は作成から自分達で行わないといけません。そのため新たに始めようとする団体には、こちらでも、知識をお教えしますが、それだけで出来るものでありません。そこで熟練の団体を紹介し、熟練の団体の指導のもと制作、消費を行います。制作には竹取、縄巻、火薬詰めと工程があり、最低でも3・4日は集団で準備していきます。火薬を扱う以上、危険も伴いますし、簡単な気持ちではとてもできるものではありません。

 また、県外の方からは、手筒花火を上げに来てほしい、と依頼があります。花火屋では火薬の製造しか行っていないため、熟練の団体を紹介しております。県外で一番頭を痛めるのは、花火の許可申請です。花火消費の許可は都道府県に一任されています。ほとんどの都道府県では手筒花火の消費がないため、手筒花火の規則もなく、許可申請に苦労します。

 余談ですが、以前当社所属の団体が、他県で申請した際、手筒花火の規則が無かった為、静岡県の手筒花火の規則に沿った、申請手続きをするようになったのですが、前年は愛知県の業者の所属団体が手筒花火を行っていたため、愛知県の規則に沿った、申請手続きをとっていました。許可を下す方が同一であるにもかかわらず、異なる規則で申請を行うことになったのです。

 もうひとつ、やはり手筒花火の消費実績がなかった都道府県で、事前の許可は下りていたものの、花火打ち上げ直前の検査で、花火を抱えて消費することは良くないこととして、急遽、足場に手筒花火をくくり付けて、消費することになり、長時間の移動に、ばっちり祭り衣装に身を包んだ者たちが、ただ火柱を眺めて帰ってきたこともありました。

 それでも手筒花火はまだまだ珍しい花火ですし、打上花火と違い、小さなスペースで行えることから、これから各地で増えていくことでしょう。終わった手筒花火は魔除けに玄関に飾ったりする人もいて人気があります。抽選や販売をしているところもあり、景品として使えるのではないでしょうか。これからやってみたいと思われる方は当社に連絡してください。相談に乗らせて頂きます。
田畑煙火株式会社